パラジウム価格高騰の裏側に迫る

パラジムの小売価格の高騰がとまりません!歯科用の保険適応金属の金銀パラジウム合金に含まれているパラジウム。東京商品先物取り引き書の先物市場では、このパラジウムの価格が2019年8月5日につけた安値4,654円(1グラムあたり)を基点に上昇基調を強め、2019年10月25日には5,893円の上場来最高値を更新しました。実に3ヶ月で1,000円以上の上昇となっています。そもそも、いまなぜパラジウムの価格が高いのか?このパラジウムの価格高騰はいつまで続くのか?価格が下がるときは訪れるのでしょうか。

 


■ 金パラの「パラ」はパラジウムのパラ

ご存知の通り、金パラ(12%金銀パラジウム合金)とは、歯の詰め物(インレー)や、かぶせ物(クラウン)によく使用される保険適用の歯科金属のひとつです。俗称として「パラ」「金パラ」「キンパラ」「銀パラ」「12%金パラ」「歯科用パラジウム」「金パラジウム」などと呼ばれますが、正式名称は「歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金」。その組成・成分はJIS規格(JIS適合品)で定められていて、金12%、パラジウム20%、銀50%前後、銅20%前後、その他インジウムなど数%が含まれています。歯科業界では保険治療適応の金属として使われることで有名ですが、実はパラジウムの約78割は自動車の排ガス媒体や電子部品に使用されています。主な原産国はロシアと南アフリカで全世界の85%程度を占めます。

 

■ 世の中には「パラジウムカード」なんてものも

日本ではあまり知られていませんが、ニューヨークに拠点を持つ銀行「JPモルガン・チェース」とクレジットカード会社の「VISA」が提携して、過去にパラジウムカードを発行していました。現在は「JP Morgan Reserve Card」という名前になっていますが、なんとクレジットカード自体がパラジウムできているので「パラジウムカード」と呼ばれていました。少し話が脱線しますが、このパラジウムカード、どのくらい凄いかご存知ですか?

パラジウムカードの取得条件は「JPモルガンのプライベートバンク部門の顧客であり、3,000万ドル(30億円)以上の資産を持つ」ことで、これでやっと審査を受けることができるのですが、もちろん審査が通るか否かは別の話。アメリカの第44代大統領のバラク・オバマ氏が所有していると言われています。パラジウムは歯科の世界では材料として有名ですが、世界のお金持ちにとっても「価値あるもの」の象徴なのかもしれません。

 

■ パラジウムの価格高騰の裏側

2019年の1月にはグラムあたり5,000円程度だったパラジウムですが、2月以降に徐々に小売価格が高騰を続け、一時期は6,000円台になりました。その後3月に入って少し下落したものの、2019年の後半は5,300円~5,900円で推移を続けています。世の中の一般の人はあまり馴染みのない金属が密かに高騰し、すでにプラチナや金よりも高いという異常な状況が続いているのです。

 

■ 排ガス規制によりパラジウムの需要も上昇

では、なぜこれほどまでにパラジウムの価格が高騰しているのでしょうか。ひとつ目の理由としては、世界的な排ガス規制によって、ディーゼル車の販売台数が減少することでガソリン車の需要が高まっていることが上げられます。東南アジアをはじめとする新興国では自動車普及に伴い深刻な大気汚染が発生しており、この対策が大きな課題となっています。大気汚染にはガソリンを改質ガソリンにする、もしくは自動車のマフラーに有害物質を除去するパラジウムを触媒として設置することが有用な対策であることが証明されています。このうち、パラジウムを設置する方が技術的にもコスト的にも有効であるとされている為、パラジウムの需要が伸び価格の高騰に繋がっているようです。

 

■ インドネシアのニッケル輸出禁止も関係?

2020年からインドネシアが鉱山からニッケルの輸出を禁止すると発表されました。パラジウムはニッケルの副産物であるため、需要が減ってしまうとの見方がされていて、一部の投機筋が市場から吸収して需給を引き締めている可能性が高いとも見られています。

 

■ パラジウム価格高騰の終焉はいつ?価格は下がるのか

まだまだ高騰が続きそうなパラジウム。レアメタルの1つであるパラジウムはレアというだけあって、供給量がひっ迫していることには間違いありません。鉱物は地球上で採掘される量には限界があり、供給不足であることは今後も変わることな無いので、今後もパラジウムの価格が大幅に下落するとは考えにくいのが現状です。しかし、もちろん相場下落のリスクもあります。それは、他国でパラジウムが増産される可能性です。例えば、ロシアのノリリスクには世界有数のニッケル鉱山がありますが、ここでもパラジウムが副産物として産出されていて、世界の供給の約6割を占めています。価格の高騰をうけて、この鉱山でパラジウムの増産が行われるのではないかという市場関係者の声も聞こえてきます。

 

■ こまめな相場チェックでタイミングを見極めて

現在歯科医師をされている方や歯科技工士の方以外にも、歯科技工士学校を卒業した人、かつて歯科技工士だった人のなかには、手元にパラジウム合金を持っている方もいるのではないでしょうか。パラジウムが高騰している今こそ売却タイミングかもしれません。もちろん、今が最高値かどうかはわかりませんし、タイミングを見極めるのが大切です。少しでも興味を持たれたなら、毎日相場情報を更新しているミントエスのホームページで、金パラやパラジウムの相場チャートをこまめにチェックしてみてはいかがでしょうか。

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